2018/10/18

◇セミナー・補足(初級編)◇今の現場でできることを一生懸命こなしてみよう

 開始後1週間が経ち、一回りした感じがあるので、その中での所見と、それを基にした工夫を考えました。

 初級向けのセミナーは、みなさんの現場での悩みや不安を聞きながら、心理職としてのスタンスや姿勢を学べる場にしたいと考えています。座学のセミナーというよりはワークショップに近い形式です。
内容の詳細についてはこちらをご覧ください→https://ykmcpro.blogspot.com/2018/10/blog-post.html


 前回の投稿では所要時間30分程度とお伝えしていましたが、一回45分程度に落ち着きそうです。初めのうちは1時間くらいになったりもしますが、スタンスが掴めればスムーズに進んでいくと予想しています。初期は臨床の解説やスタンスの問い方などから始めていきます。

 希望の曜日がまちまちなので、曜日を増やしていこうと思います。その分、時々お休みをする予定です(予定は前もって早めにお知らせします)。また、曜日やレベルによってマンツーマンになる可能性もあります。

●セミナーの進め方
見立て→判断→何が適用になるか、どういうスタンスの療法が良いか、一般的カウンセリングや専門技術の判断をし、他の人に伝わりやすい形を組む練習をします。

〇ケースを持っている方
どんなケースを持っている方も、一部のケースの素描を5分程度話してもらう形になります。事前の準備などは特に必要なく、こういうことを相談したいというのを念頭に置いて参加してもらえれば大丈夫です。
〇ケースを持っていない方
→メール(petit★ykmc.jp、★→@)にてご相談ください。

※日によっては少人数の時もあります。
※入念な準備や原稿をまとめてくる必要はありません。

 これまで、ごく初級・初級の参加者にお会いした限りでは「心理職に就いてはいるものの、心理療法やカウンセリングをやる機会が少なく、福祉的業務や医療の補助的サポートが多い。医療者のアシスタントや現実的具体的なニーズの拾い出し、生活や暮らしのケアなどがメインで、専門的な業務がなかなかできない」という戸惑いや不安を持つ方が多いようです。

初級で重要なこと①
 心理療法やカウンセリングでまず重要なのは、クライエントが下記のどちらに当てはまるかを見極めることです。

1)クライエントの現状、長い将来を考えて、社会的な医療福祉サポートに頼る
2)本当の自活ができて医療福祉がいらなくなるまでに回復が見込める

 自活できる力を低く見積もった場合は簡単です。ですが、実際は1)だったのに2)と判断した場合は、クライエントが無理をすることになってしまいます。ヘトヘトにさせたり、病理的心理の人の場合はそれが行動化・症状化したり、混乱につながることもあります。この見極めを練習していかないと、のちのちクライエントの生活力が落ちていくのを見過ごしてしまいます。

 ベテランの先生でもシビアな見立てができず、20~30年間患者さんと会い続けるのはよく聞く例です。こういうパターンでは、転職や引っ越しなどで関わりが終わった後に、結果として医療や福祉が必要だったと周りが気づくことになります。その場その場で見立てをきちんと修正していかなければ、クライエントも夢を見てしまい、現実を踏まえられず、結局何も変わりません。

 そういう意味で、シビア、シリアスな見立てをいかにできるようになるかが重要です。厄介なのはこちらの希望的観測が強い場合(いつかよくなるのでは?と思いたくなる)や、こちらの自尊心でなかなかシビアな視点を持てない場合です。

初級で重要なこと②
 もう一点は、自分の今の職場で何ができるかを考えることです。心理療法・心理カウンセリングのプロフェッショナルになりたいのであれば、今任されている作業やルーチンワークを十分技量が高いと言われる状態に持っていくことです。誰から見ても熟練している人は、例えブランクが空いて不慣れな状態であっても、少し練習すれば簡単な処置はすぐにこなせるようになります。今の業務がつまらなくても、1~2年やって上達して、これだけできるというレベルに持っていければ、「こういう業務の時間を取ってもいいですか?」という提案や、他の職場への転職もしやすくなります。またそうした作業は、現実に触れる良い練習にもなるでしょう。

 キャリアの最初がどうだったかはあまり関係がなく、誠実にやり通せば生き残ることができます。周りの人たちを見ていても、いくつか仕事をやっていくうちにたまたま恵まれた環境に出会えたという時期があるようです。

 このセミナーは、そうやって心理職という仕事に向き合っていく上で、姿勢を学べる研修があれば自信になる、と思って始めました。自分の方向性が合っているかどうか不安になることもあるでしょうし、実際に私もそういう経験があります。スーパーヴィジョンでも、個々のケースのしっかりした相談はなかなか難しいものです。このセミナーが日々のふとした積み重ねをやるのに役立てば、と思っていますし、実際スタートしてみてそれで良いのだろうという実感も持っています。